フォロ・ロマーノで、この教会の入口を見つけるまではこんな素晴らしい場所が存在することは知らなかった。イタリア政府観光局のwebページによると、ここサンタ・マリア・アンティクア教会(Santa Maria Antiqua)は1980年代に修復作業に入って以来、実に30年間にわたり非公開となっていた場所であるということだ。公開日程は「2016年3月17日~9月11日」となっており、予定通りなら我々はこの教会の存在を知らずに日本に戻ってきていたはずだ。
今回の旅行で、こうして中に入れたことは奇跡的な幸運だったのである。
キリスト教を迫害した帝政ローマの心臓部フォロ・ロマーノの中と言ってもいいような場所に、キリスト教会が存在していたこと。そして、その古代の教会がほぼそのままの形で残っていたことは奇跡としか言いようがない。
先述したイタリア政府観光局の説明によると、6世紀から9世紀のキリスト教の宗教画がフレスコ画として残っているということだ。この時代の宗教が見られることは非常に貴重である。
西洋世界の教会は使用し続けられてきたがゆえに、古いフレスコ画は教会の改修と同時に上塗りされて消えてしまった。そして、ビザンチン世界のフレスコ画は、イコノクラスム(聖像破壊運動)期を経ているので、破壊されずに残っているものは稀有なのである。
これだけ古い時代のフレスコ画が残っているということは、ここも、ポンペイのように何らかの理由で失われ、忘れ去られ、埋もれていたものが近代になって発掘されたということなのだろうか。
そうだ、フォロ・ロマーノすら中世の長い間忘れられ放置されて放牧地となっていたのである。それらと同様にこの驚くべき教会も永い眠りについていたのに違いない。
2017年1月イタリア旅行へ
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