トラヤヌス市場を見て、後ろを振り返るとそこには巨大なヴィットーリオ・エマヌエーレ二世記念堂(Monumento Nazionale a Vittorio Emanuele II)があった。もともと観光の予定に入れていなかった場所だが、せっかくなので見ていくことにした。
この建物ができた頃、美的な観点からいろいろと批判を浴びたようである。
確かに、この建物は壮大だが、コロッセオ、パンテオン、カステル・サンタンジェロ、サン・ピエトロ大聖堂などの名建築とは比較にならない。いずれも建築史に燦然と名を残す不朽の名作のすぐ近くに存在することが、この建物の不運なのだ。
ヴィットーリオ・エマヌエーレ二世はイタリア統一を成し遂げた、イタリア建国の父である。それまでイタリアはローマ教皇領をはじめ、いくつもの小国が分立する状態だった。
台座の銘文を見ると
VITTORIO EMANVELE II
PADRE DELLA PADRIA
と記されている。「PADRE DELLA PADRIA」は国父という意味だ。
国父という言葉は古代ローマに起源があり、当時はラテン語で「PATER PATRIAE」といった。元老院から贈られる称号で、有名なキケロ(Cicero)やユリウス・カエサル(Julius Caesar)などがこの称号を得ていたと思う。非常に名誉な称号である。
最頂部まで登ると、景色は壮観である。イタリアの歴史に興味がなくても、この景色を見るためだけにここを訪れても良いと思う。
無名戦士の墓 |
ここには無名戦士の墓が設けられている。そのためだろうか、ここでは係官の指導が厳重で、せっかく眺めが良いのに階段に腰かけて景色を見ることは許されない。
ここは、国父の記念施設で無名戦士の墓である。
外国人である我々とて敬意を失うことはあってはならないのであった。
イタリア統一に思いを馳せながらこの施設を後にして、我々夫婦は地下鉄駅コロッセオを目指した。
2017年1月イタリア旅行へ
0 件のコメント:
コメントを投稿