2012年4月13日金曜日

【パンテオン】(イタリア・ローマ)






建築史の教科書には必ず出てくるローマ建築の傑作。細部のデザインではなく、ドーム部分の造形全体が幾何学的な美しさを見せている。円形の平面の上に美しいデザインの球形のドームが乗っている。円形の平面部分の直径は球形ドーム部分の直径と同一である。つまり、この部分は球体がピッタリおさまる空間となっているのだ。ドームの天井は、現代建築としても合理的な形状で、天井の重量を抑えながら強度を確保できる形状になっている。


  


ローマ建築の傑作であり、中世以降教会として使われていたために、破壊や荒廃することをまぬがれて、現代でもこの素晴らしい建物が良好な状態で維持されているのを見ることができる。ローマにいったら、パンテオンを見ないで帰ったらもったいない。

建築美とは何か、と問われたら、私はそれはパンテオンのような建物を表現するための言葉である、と応えよう。








パンテオンは、もともとすべての神々を祀るために造られた神殿である。通常パンテオンと音訳で表記されるが、「万神殿」と訳される場合もある。

パンテオンは最初、初代皇帝アウグストゥスの右腕であったアグリッパが紀元前25年に建立したが、その後焼失し、後世に皇帝ハドリアヌスが紀元後120年頃に建設した。現代に残るパンテオンは、このハドリアヌス帝によって建設されたものである。

この象徴的な美しさを持った円と球の空間の外側には古代ギリシア神殿のようなポルティコが配されている。このポルティコには、アグリッパが建設した旨の表示がされているが、それは最初にこの地にパンテオンを建設したアグリッパに敬意を表して刻まれたものなのである。

ふたたび言おう。

ローマに行ってパンテオンを見ずに帰るのは愚かである。


0 件のコメント:

コメントを投稿