2017年2月23日木曜日

バチカン美術館 Musei Vaticani (バチカン市国)


 ローマ滞在三日目にバチカン市国を訪れた。

 朝一番で向ったのはバチカン美術館(Musei Vaticani)である。テルミニ駅から地下鉄A線に乗り、オッタビアーノ(Ottaviano)で下車し、グーグルマップの助けを借りながら、バチカン美術館に向かう。


 バチカン美術館はインターネットで事前に予約をすることができるが、予約するには入場料の他に費用がかかる。オフシーズンに予約は不要だと判断して、我々は予約なしでバチカン美術館に向った。
 チケットを持っていない我々は、列の右側に並ぶのだということは調べていたのだが、「Official Staff」という札を首から下げた人間が何やらうるさく話しかけてくる。結論から言おう。彼らは美術館のオフィシャル・スタッフではなく、「ガイドツアーのオフィシャルスタッフ」なので、はっきりと断って列に並ぶべきである。そもそも、私は英語は日常会話もおぼつかない程度、家内はまるっきり聞き取ることができないレベルである。我々夫婦は美術作品について英語で解説されても無意味なのだ。
 しかし、英語が半端に聞き取れる私は「オフィスでチケットを買え」と言っているらしいことが判ったので、チケットを持っていない人はどこか他の場所でチケットを購入する必要があるということを執拗に話しているのだと思い、その「オフィス」の入口までツアーの「Official Staff」について行ってしまった。彼らの言い値は一人50ユーロ。夫婦だと100ユーロにもなる。正規の入場料は一人16ユーロであるから、その異常に高いのに気付き、我々はそのオフィスを後にしてやっとバチカン美術館の列に並ぶことができた。

 貴重な時間を無駄にした上に、要らない知恵を絞って疲れてしまう。

 結局チケットを購入するために必要だった時間は15分程度であった。

豊穣と多産の女神アルテミス

 豊饒と多産の女神アルテミス。胴体にたくさんついているのは乳であるという説が有力だ。




ラファエロ作「聖体の論議」

ラファエロ作「アテネの学堂」

ラファエロ作「アテネの学堂」

 ここは丹念に見て回ると、一日かけても時間が足りない。見たいところを絞って、どんどん歩いて回る必要がある。
 我々が回った中では、システィーナ礼拝堂が写真撮影禁止だった他は、どこも基本的に写真撮影が許されていた。そのため「最後の審判」の写真は残っていない。

ラファエロ作「キリストの変容」

レオナルド・ダ・ヴィンチ作「荒野の聖ヒエロニムス」

ミケランジェロのピエタ(レプリカ)

 ここにあるミケランジェロのピエタはレプリカ。本物はこれほど近くで見ることはできない。レプリカでも十分鑑賞に値する。


 有名な螺旋階段。いや螺旋形のスロープといったほうが正確だ。段にはなっていなかった。上りと下りは分離されていて、途中でかち合うことはないらしいが、今は上り用のスロープは使われていないようだ。傾斜が急で気を付けておりる必要がある。

 このスロープを降りて土産物店へ入る。最後にガイドブックを購入してバチカン美術館を後にした。

 この後我々は、カトリックの総本山サン・ピエトロ大聖堂に向かう。


 2017年1月イタリア旅行へ

2017年2月19日日曜日

サン・パオロ・フオーリ・レ・ムーラ大聖堂 Basilica di San Paolo fuori le mura(イタリア・ローマ)


 オスティア・アンティカからの帰りにサン・パオロ・フオーリ・レ・ムーラ大聖堂(Basilica di San Paolo fuori le mura)を訪れた。
 ローマはキリスト教世界の中心であった。そして今もローマ・カトリックの総本山がある。そのためだろうか、この街には教会が無数にある。ローマに一週間ほど滞在して、あちこち歩き回った者の感覚としては、教会を見ずに十分間歩くことは難しいのではないか、と思うほどだ。

 ローマにある無数の教会の中で最も代表的なものは言うまでもなくサン・ピエトロ大聖堂であるが、ここサン・パオロ・フオーリ・レ・ムーラ大聖堂もローマを代表する四大聖堂のひとつだ。

 ローマ四大聖堂は、
  • サン・ピエトロ大聖堂
  • サンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂
  • サン・ジョバンニ・イン・ラテラノ大聖堂
  • サン・パオロ・フオーリ・レ・ムーラ大聖堂
 である。私は今回のローマ滞在中にこのローマ四大聖堂をすべて回ることになる。

 これにサン・ロレンツォ・フオーリ・レ・ムーラ大聖堂を加えて五大聖堂ということもあるようだ。

 さて、サン・パオロ・フオーリ・レ・ムーラ大聖堂である。





 この教会の名は、城壁の外にある聖パウロ大聖堂という意味である。城壁の外にあるということは、ローマの中心部からは遠いということだが、アクセスは比較的容易。テルミニ駅からは地下鉄B線一本でいくことができる。最寄駅はズバリ「Basilica San Paolo」。この区間は地下鉄とリード線とが並行して走っており、オスティア・アンティカからも乗り換えなしで行くことができる。
 駅からこの教会に向かうと、ちょうど教会の裏側に出るので、どんどん歩いて、正面を目指す。

 


聖パウロの墓


 この大聖堂は、コンスタンティヌス大帝が聖パウロの墓の上に建てたものだ。現在みられる建物は、1823年に火災で焼失し、その後再建されたものだが、聖パウロの墓所はきちんと見ることができるように整備されている。
 なお、イタリアで言うパオロとは聖パウロのことである。ピエトロはペテロあるいはペトロのこと。






 教会に入るのに費用は掛からないが、中庭に入るには、一人4ユーロ必要になる。ここには美しい中庭があるだけではなく、貴重な大理石の碑文が壁に埋め込まれる形で展示されている。
 ねじれた柱はいろいろな教会で目にすることができるが、この中庭で見られるそれは非常に美しい。

 せっかくここまで来て4ユーロを惜しむ必要はない。必ず中庭も見てから、他の観光地へ向かうべきだ。

 この日の観光はこれで終了。テルミニ駅地価のスーパーマーケット「コナド」でビールを買い込んでホテルに帰った。


 翌日は、バチカンへ向かう。


 2017年1月イタリア旅行へ


2017年2月9日木曜日

オスティア・アンティカ Ostia Antica(イタリア・ローマ)


 ローマ滞在二日目。最初に訪れたのは、オスティア・アンティカ(Ostia Antica)。ローマの中心部からは少し離れているが、一見の価値がある。ポンペイとどちらを選ぶか、と訊かれればやはりポンペイの方が素晴らしいと思うが、時間の制限があるようなら、オスティア・アンティカだけを訪れても十分満足できるだろう。

 アクセスは簡単だ。ローマのテルミニ駅からアクセスする場合は、地下鉄B線でピラミデ駅(Piramide)まで行き、そこでリード線(linea del Lido)に乗り換える。途中に改札もなく、乗り換えるべきプラット・フォームはすぐに見つけられる。


 落書きの多いリード線に乗り、オスティア・アンティカ駅で降りる。歩道橋を越えてしばらく歩くと入口に辿り着く。

 ここで、注意事項を一つ。なるべく早く地図を入手し、見たいところを絞って見物したほうが良い。私は見所がうまく見つけられず、ほとんど観終った後で売店で土産として地図を入手したのだが、これでは効率が悪い。私の場合は、チケット売り場では入場券を買うことで精一杯で、地図を物色することまで意識が回らなかったのだが、ここで地図が購入できるようであれば、迷わず購入するべきである。もし、ここで入手できなければ、遺跡の中心辺りに売店と食堂が並んでいるところがあるので、とりあえずそこまで歩き、地図を入手してのんびりコーヒーでも飲みながら、見所を物色し、しかる後に遺跡歩きを始めるのが賢い方法である。
 私は、広大な遺跡の中を闇雲に歩き回って無駄に歩数を稼いだ。この日の万歩計の記録は、28,715歩。ローマで過した一週間の最初の一日は、結局この旅行の間で最もたくさん歩いた日となったのである。

 さて、見所をいくつか紹介しよう。

ネプチューン浴場(TERME di NETTUNO)

 ネプチューン浴場には、床の装飾に素晴らしいモザイク画が存在するはずなのだが、見付けることが出来なかった。工事か何かのために、シートで隠されている場所があったのだが、恐らくそこに目当てのモザイク画があったのではないかと思う。


円形劇場(Teatro

円形劇場Teatro

円形劇場Teatro

円形劇場Teatro

 円形劇場。保存状態が良い。ローマ遺跡には付き物の施設である。先を急ごう。


同業組合広場(Piazzale delle Corporazioni)

同業組合広場(Piazzale delle Corporazioni)

同業組合広場(Piazzale delle Corporazioni)

同業組合広場(Piazzale delle Corporazioni)

 円形劇場のすぐ裏手に、同業組合広場(PIAZZA DELLE CORPORAZIONI)がある。オスティア・アンティカ最大の見所の一つだろう。ここは、多数の商店が軒を連ねていた場所で、各店舗前の床を飾るモザイクは看板の役目を果たしていたらしい。ここも、樹木の剪定作業のために、ビニールが敷かれており、肝腎のモザイク画を全て観ることはできなかった。


フォルムとカピトリウム(Forum - Capitolium)

大複合倉庫(Horrea Epagathiana et Epaphroditiana)

 英語のガイドブックから日本語を想像しているので、日本語表記に少々自信がない。ガイドブックの英語は「large warehouse complex」。「Epagathiana et Epaphroditiana」は二人の所有者の名前のようだ。これも保存状態が良く、非常に美しい。それとも復元か?


Caupona di Alexander e Helix


Caupona di Alexander e Helix


Caupona di Alexander e Helix


Caupona di Alexander e Helix

Caupona di Alexander e Helix


 床のモザイクに「ALEXANDER」と「HELIX」の文字が読み取れるために、この名で呼ばれている。はっきりとは解らないのだが、「Caupona」とはレストランとか居酒屋とかいう意味らしい。ここはモザイクの上を歩くことが出来てしまう。二千年前に作られたモザイク画の上をである。本当に歩いてよいのか疑問に感じつつも、真上からじっくり鑑賞させてもらった。マイナーな観光地ならでは、ということだろう。


マリーナ門の浴場(Terme di Porta Marina)

マリーナ門の浴場(Terme di Porta Marina)

マリーナ門の浴場(Terme di Porta Marina)

 マリーナ門(Porta Marina)とは港に面した門のことだと思うのだが、ポンペイ遺跡にも同盟の場所が存在する。古代オスティアはここのすぐそばが海岸線だったようだ。ローマ遺跡はどの浴場もモザイク画が素晴らしいのだが、ここも格別である。遺跡の入口からもっとも離れた場所にあるため、見逃すことのないように注意すべき場所である。


キューピッドとプシケの家の彫像

 彫像がオリジナルなのか、それともオリジナルが博物館に運ばれた後の模造品なのかは不明である。ギリシア神話に題材をとった作品だろう。しかし、不意に現れたこの彫像に覚えたある種の感動は、今も忘れることができない。


居酒屋のフレスコ画

 居酒屋のフレスコ画。メニューが表示されているという説が有力のようだ。


七賢人の浴場(Terme dei Sette Sapienti)

七賢人の浴場(Terme dei Sette Sapienti)

七賢人の浴場(Terme dei Sette Sapienti)

 床のモザイク画が美しい。こちらも何かの作業中で全体を見ることができなかった。1月はオフシーズンなのでいろいろな所が空いていてよいのだが、オフシーズンにマイナーな観光地に行くといろいろとメンテナンスが行われていて、鑑賞の妨げになることもあるようだ。


詳細不明の美しい床の装飾

詳細不明の美しい床の装飾

詳細不明の美しい床の装飾

 こちらは、どこで撮影したか不明な床の装飾。現代でもこのままで通用するデザインである。


ディアナの家(Caseggiato di Diana)

ディアナの家(Caseggiato di Diana)

 こちらは、ディアナの家。規模が大きく比較的往時の形状が良く残っている。集合住宅だったようだ。

 さて、以上でオスティア・アンティカの紹介を終りにする。

 ローマの中心部から1時間程度で到達できる素晴らしいローマ遺跡である。是非訪れてみるべき素晴らしい場所である。


 2017年1月イタリア旅行

2017年2月4日土曜日

テルミニ駅でプリペイドSIMを購入する

 2017年1月に女房と二人でイタリア旅行をした。ローマ到着初日、目的地について最初にやったことは、日本で使っているスマートフォンをイタリアでも通信可能な状態にすることである。スマートフォンは勿論SIMフリー。ASUSのZenfone 2だ。

 イタリアの通信キャリアは次の四社が有名どころだ。

 ・TIM
 ・Vodafone
 ・Wind
 ・3IT

 ローマのフィウミチーノ空港では、聞いたことのないキャリアのSIMも売られていたが、そこはグッと我慢してローマの中心地を目指す。
 今回、私が選んだのはWind社のSIMである。事前の下調べでは、最も価格が安く、後述するような契約上のトラブルも少ないらしいので、WindのSIMを選んだ。

 私がSIMを購入したのはテルミニ駅構内のWindショップ。たしか1階(日本でいう1階で地面と同じ高さ)にあったと思う。

 「We want prepaid SIMs for tourist.」と言うと、事前に調べておいたプランを薦めてくれたので、私のZenfone 2と家内のスマートフォンと二台分のSIMを購入した。
 (SIMを一つだけほしい場合は、「I need a prepaid SIM for tourist.」で良いと思います。)Zenfoneだけ通信できるようにして、家内のスマートフォンはテザリングでインターネット接続することもできたはずなのだが、何かあったときに互いに電話で連絡を取り合えるようにするためには、2セットの契約が必要だ。保険の意味も含めて、念のため二台とも電話を利用できるようにしたのである。
 そうそう、後々問題になることを防ぐために、支払いは現金で行うこと。他社のSIMでのことのようだが、SIM代をクレジット・カードで支払って、日本に帰ってからも毎月費用が引き落とされるという不運にあった方がいるようだからである。

 さて、本題に戻ろう。
 私が契約したプランは、Windの「Italy Tourist Pass」。旅行者向けのプリペイドSIMだ。

 20ユーロ(2,500~2,600円程度)で以下が利用できる
 ・日本への通話を含む世界各国への100分間の通話(どの国が対象か店で確認すること)
 ・2GBのインターネット通信
 ・30日間有効

 購入にはパスポートが必要だ。(代表者のパスポートだけでOKだった。)宿泊予定のホテルの住所も訊かれることがあるらしいのでメモしていったのだが、我々の場合は必要なかった。この店では、何も言わなくてもカウンターの女性がスマートフォンの設定まで行ってくれた。通信が開通するまで1時間必要と言われたが、気付いたら通信できるようになっていた。

 海外旅行用のWi-Fi通信機器も検討したのだが、イタリアで10日間だと8,000円近い費用が必要だ。(実際には利用しなかったので金額はうろ覚えです。)それに比べると、我々が購入したSIMは電話もできて、インターネットも十分な容量があり、非常にリーズナブルな価格設定で、通信品質も申し分なかった。

 海外でスマートフォンを活用して、何よりありがたかったのは日本と同じ使い勝手でグーグル・マップが使えたこと。目的地を検索することにより、鉄道やバスを使った移動手段をいつでもどこでも調べることが出来る。もちろん徒歩での道案内も行ってくれる。スマートフォンに向かって日本語でカラカラ浴場とかテルミニ駅とか言えば、目的地まで案内してくれるのだ。以前イタリアへ行った時には、地図を見ながら歩いて道に迷ったものだが、スマートフォンを使えば、もうそういうことは起こらないのである。

 ローマ到着初日はこのようにして終った。この日は、翌日からの観光に備え、早く食事をして部屋に戻り、ビールを飲んで寝てしまった。
 乗り継ぎを含めた日本からの移動で疲れていたせいで、ピザを残してしまったが、夕食は二人で巨大なピザを二枚、大皿スープを二杯、ワインを500ml、ミネラルウォーターも確か500ml、他にももう一品頼んだような気がするが既に記憶が曖昧である。それだけ頼んで締めて30ユーロ。注文した後で気付いたのだが、この店には日本語のメニューも常備されている。店の名は「Il Secchio」。テルミニ駅から徒歩で2~3分の場所にある。
 居心地がよく安価なので、この店にはこの後二度通うことになる。

 ちなみに、テルミニ駅構内には地下にスーパーマーケット「コナド(Conad)」があり、ちょっとした買物に便利である。ここで買うペットボトルの水は格安で、滞在中は毎日ここの水を飲んでいた。

 翌日から、本格的な観光が始まる。


 2017年1月イタリア旅行へ

フィウミチーノ空港からシャトルバスでテルミニ駅へ(ローマ到着) 

 フィウミチーノ空港からローマ市内、テルミニ駅前までは資金を節約するためにシャトルバスを利用した。利用したバスは多分T.A.M.のバスだったと思う(確かではない。)

 費用は一人5.9ユーロ。レオナルド・エクスプレスが一人14ユーロなのに比べると格安である。所要時間は45分程度。バスなので当然遅れることがあるが、我々は渋滞に巻き込まれることもなく、テルミニ駅に到着できた。着いたのは、駅の南西側ジョヴァンニ・ジョリッティ通りである。


 スーツケースは係員が載せてくれるわけではなく、何故か自分で載せなければならない。日本人のようにきちんと並んで、整然と乗車するわけでもないので、多少のストレスがある。





 市壁が見えてくれば、いよいよローマ市内である。これから、観光の日々が始まるのだ。


 2017年1月イタリア旅行

2017年1月イタリア旅行 Our Tour to Italy

 2017年1月にイタリアへ旅行に行った。これは、その訪問先の一覧である。記憶の新しいうちに、記録を残しておくことにしたい。
 今回のイタリアへの旅は、旅行代理店を通して往復の航空券とホテルだけを手配することにした。他は自力で観光地を回ったのである。

 訪問先を整理すると次のとおりだ。


初日(ローマ)

二日目(ローマ)晴天

三日目(バチカン)晴天

四日目(ポンペイ遺跡)晴天~雷雨

五日目(ローマ)晴天

(午前休息、午後観光スタート)

六日目(ローマ)晴天

七日目(ローマ)

八日目(ローマ~帰国)